アクアリウム水槽立ち上げ記録
〇アクアリムを始めたきっかけ
約4カ月前(2020年7月)に神奈川県川崎市にオープンしたばかりのカワスイに最近行ってきた。
日本初の駅前商業施設内の水族館ということで、重量制約のある中、どこまでの展示ができるのだろうという、どちらかというと魚メインではなくビジネススタイルが知りたい気持ちが強かった。
ただ行ってみると、水槽背景を川のプロジェクションマッピングにしたり、アマゾンやオセアニア・アジア、アフリカなど、地域によって分類したゾーンがあり、世界最大のナマズの仲間や古代魚などあまり見かけない魚が多く、とても楽しかった。
都市型水族館ならではのスペース制約を感じさせない展示だったが、そのぶん自宅にも置けるような小型水槽の展示も多く、子供のころからやりたかったアクアリウムへの意欲が急速に高まり、勢いで始めたのでその立ち上げ記録を記載する。
〇水槽
水槽にはフレーム水槽とフレームレス水槽があり、後者を購入(インテリア性を重視かつフレームレス水槽でも十分丈夫であるため)
水槽は小ぶりのほうが管理しやすいのかと思ったが逆に大きいほうが水質が安定して管理しやすいらしい。
水槽サイズは15cm→30cm→45cm→60cm→90cm→120cm→150cmとなっており、
初心者は大体30,45,60cmの中から選択する。
自分は比較的大きいサイズが良かったので、以下の60cm水槽を購入した。
〇バックスクリーン
バックスクリーンとは水槽の裏に張り付ける単色のシートのこと。
主に黒色と青色があるが、黒色の方が引き締まってクールに見えるので黒色を選択。
両面粘着テープで張り付けるかセロハンテープで張り付けるかだが、水槽の淵は
機材などで隠れて見えないのでセロハンテープでも目立たず、プロもセロハンを使用している人が多いとのことでセロハンで張り付けることとした。
〇フィルター
水槽は観賞魚用品業界パイオニアのGEX(ジェックス:大阪に本社あり)製で購入したため、フィルターも同じくGEX製にした。
SLIM FILTERというブランドが有名で、つい最近後継のPROシリーズが発売(まだ通販で手に入らない)されたので、60cm水槽の横幅ちょうど30cm以内に収まるLサイズを購入(2台付け可能)
ちなみにフィルターと水槽などセットで販売されているものもある↓
フィルターの役割としてはエアレーション(後述。水に酸素を送ること)した酸素を流水によって、いきわたらせることで、魚の排泄物や食べ残しなどから発生する毒素(アンモニア、硝酸など)を分解するバクテリアの住処を広範囲に広げることや、フィルター内のマットにバクテリアを吸着させることで、水槽レイアウトリセット後の立ち上げを速くするなどがある。
〇マット
またフィルター内部に挟むマットは2種類(活性炭による化学ろ過、通常のマットによる物理ろ過)あり、水槽内をきれいにさせる。
上述のフィルターの場合は活性炭マット×1,通常マット×3を適用する。
マットの順番としては物理ろ過が先で(大きいゴミを取る)、その後化学ろ過、というのが理にかなっているが、上述のフィルターは化学ろ過の活性炭を先にはめる。
これは恐らく活性炭マットは吸着剤の役割も持つため、バクテリアを先に吸着させて、その後物理ろ過をさせているのかもしれない。
水の交換や水槽のリセット時にマットにバクテリアが吸着してくれているので、魚が住みやすい環境がすぐ再現できる。
マットは消耗品で1カ月程度で交換。予めバクテリアがついたマットも存在する。
〇バクテリア剤(バク剤)
液体のバクテリアで使用期限が無い製品が良く出回っており、インチキ臭い。
バクテリアメーカーの見解ではバクテリアを休眠状態にし、ボトルの中で数年間も生存させることは不可能ということで、バク剤の良しあしは消費期限が書いてあるかどうか、というのもポイント。
店員さんお勧めの以下を購入。水槽立ち上げ直後に2~4日間適量を投入すればOK.
〇底床
大体、砂利かソイル(土を粒状に焼き固めたもの)の2種類から選択する。
結論からいうと自分は扱いやすく、管理のしやすさ、コスパを重視し、砂利とした。
ソイルは水草の光合成促進用CO2添加装置(数万円)などのコスト、スペースを取る。
ソイルを選ぶ場合は、なるべく栄養価の低いものを選んだほうが無難。
<ソイルを選ばなかった理由>
・ソイルは栄養分が豊富なので、導入直後は毎日1/3程度は水換えする必要あり
・導入直後は初期肥料が溶け出すため、水槽内が富栄養状態になりやすく、コケが発生する可能性が高くなる
・ソイルの栄養を水草に消費させるために光合成を促進させるCO2添加装置が必要
・ソイルの寿命は、栄養分がなくなって団粒構造が保てなくなった時で、1~2年程度でリセットする必要がある。
・水を注ぐ時少しでもソイルを舞い上げると濁りがあり、栄養も水に溶けだし苔要因になるため、極力舞い上げないようケアする必要あり
・上記の状態で濾過装置を使用すると最悪故障の原因になる
砂利であればフィルター2台をつけてろ過能力を高めれば、2週間に1回程度ゴミを吸い上げる程度でOK。水槽レイアウトの定期的なリセットは不要。
砂利にすると水草の選択幅は狭まるがそこまで凝ったことはしないのと、コリドラスのような底を這うような魚でも飼えるのがメリット。
60cm水槽なら大体9kgぐらいの砂が必要のため、10kgを購入
(厚み5cm程度の砂を敷くのが推奨であるため)
<砂利の注意点>
砂利は川から採取していることもあり、害虫駆除として洗剤を使用しており、使用前に米とぎの要領でバケツに入れて洗わないと、水槽にセットしたあと、砂利の毒素が溶け出して魚が死ぬ要因になるので注意。
〇ヒーターと温度計
初心者向け熱帯魚の飼育温度は22~28度程度であるため、温度計と、これから冬場に向けて寒くなるためヒーター(温度調節つまみあり)を購入。
〇カルキ抜き
水道水のカルキは微量なので、魚を即死させる要因にはならないが、ウロコに覆われていない魚のえらなどを傷つけて呼吸を阻害する要因となる。
またバクテリアを殺してしまうため、水槽内のろ過能力も低減する。
カルキ抜きがない場合は水道水を6~24H放置する必要があるが、カルキ抜きであれば水へ投入後、すぐに化学反応を起こすため、かき混ぜればすぐに水槽へ投入できるようになる。
〇掃除用具
電動で自動で水を吸い上げてくれるものもあるが、手動のポンプ付きクリーナーでOK.
重たい砂利は下に落ち、軽い糞や食べ残しだけ吸い上げてくれる。
あとは細かいゴミを取るための掬いなども購入。
〇ライト
水草が一番育つのは3色型。自分はインテリアとしても楽しみたいので、スイッチ付きを購入(ON/OFFの2選択が3色つくので2の3乗で8パターンの色が楽しめる)。枠がついて水槽に安定して取り付けられるため、自分は以下の右側を購入。
魚の生体リズムを崩さないよう、自然と同様、朝~夜までつけておき、寝るときは消す。
〇餌
フレークタイプ(以下、写真左)がメイン。ただエンゼルフィッシュなどの肉食魚だと食いつきが良くない場合もあり、その場合はディスカスなどが好んで食べる餌(以下、写真右)がbetter。
魚は空腹でも自分の趣向にあった餌しか口にせず、食べられる餌が浮いていても餓死を選ぶので、エサは複数持っておく。
〇エアレーション機材
エアレーションとは、「ポンプを使って水中に空気を送り込むこと」で、空気を送るホースの先にエアストーンを付けることで、細かい気泡を水中に生み出し、水中の酸素の量を増やす効果がある。
これによりバクテリアが繁殖しやすくなる。また夏場の水温を2~3度下げる役割もあり、水温が高いとエビが水槽から脱走することも多く、飛び跳ね防止にもなる。
必須ではないが、気泡の出る様子はインテリア効果も高く、なにより初心者でバクテリアをかなり気にしたため、購入した。
エアストーンとポンプ、ホースの3点が必要となる。
〇水槽台
水槽台は当初、脚立フレームで支える空洞が目立つすっきりしたデザインを購入しようと思ったが、60cm水槽の重さは10kg前後で水や砂利を含めた全体の重さは60kgにも達することから、アクアリウム専用の台が必須。
ジェックス アクアラックウッド 600WH 60cmインテリア水槽台を購入した。
設置後の様子は以下。ひとまず、事前準備でできることはこれぐらい。
上述したように砂利は何度も水洗いが必要
(感覚的に5~6回程度は最低でも水洗いをしたい)
〇水槽レイアウトモデルの決定
水を入れる準備が整ったのでレイアウト構想を考える。
アクアリウムショップを渡り歩いていると、個人的にクールなレイアウトを見つけたので、なるべくこれに近づけることを目標とした。
流木がそびえ立っていて、石もところどころむき出しになっており、
どこか寂しげで過酷な環境をイメージさせるところがロマンを感じた。
〇石
アクアリウム水槽に使われる石は主に以下の4通り。
1.龍王石(りゅうおうせき)
2.山谷石(やまやいし)
3.黄虎石(おうこせき)
4.溶岩石(ようがんせき)
上述のレイアウトのイメージに近づけるため、黄虎石を選択した。
〇流木
流木は数千円程度して結構高く、アク抜きされていないもの(白テープ貼り付け:以下写真手前側)とアク抜きされているもの(緑テープ貼り付け:以下写真奥側)がある。
・アクの成分とメリット、デメリット
流木のアクとは、フミン酸・フルボ酸などの「腐植酸」と呼ばれる物質とタンニンが主成分となったもので、生体に直接影響を与えることはありませんが、水中に入れるとこれらの成分が流木から溶け出し、飼育水を茶色や黄色に濁らせ鑑賞性が低下する。
ただし、流木のアクの成分であるタンニンやフミン酸を含んで茶色く濁った水はブラックウォーターと呼ばれており、水質を弱酸性に傾けてくれる効果があるため、テトラなどのアマゾン川を生息地とする熱帯魚の飼育には適した環境となる。
・アク抜きの方法
1.水につける
⇒1カ月~数カ月の時間を要する。
2.市販のアク抜き材を使用
⇒数日~1週間程度でアク自体は抜けるが、アク抜き材は水質をアルカリに傾ける性質があり、数日~1週間程度水道水につけて流木内に入り込んだ薬剤を抜く必要がある。
3.重曹を使用
⇒アク抜き材の主成分は重曹であり、効果はアク抜き材より薄いため、1週間以上付ける必要があるが、コスパ的にはこちらが優位。
4.煮沸したお湯につける
⇒8時間程度で済む。
〇モデルを参考にした水槽レイアウト(水を入れる前)
2本のアク抜き済み流木(左右)と1本の小ぶりのアク抜き未実施(中央)の流木を配置。結構この状態でもインテリアとしては見ごたえがある。
〇水草
水を入れていく準備が整ったので、水草を選んでいく。
初心者が手を出しやすい代表格がウィローモスという水草で、上述のモデルレイアウトに近い雰囲気が出せる。
また砂利でも育てられるよう石に巻き付けられた状態で売られていることも多い。
石付きウィローモスは手軽だが、石が大きく目指しているレイアウトから外れていく気がしたため、薄い石とウィローモスをそれぞれ個別に購入。
水草を貼り付ける用の接着剤もあるが、すぐになくなってしまう量しか入っていないこともあり、糸で巻き付けることとした。
以下のように簡単に巻き付けられる。できれば時間が経過すると紐がゆるんだり、水草が減って紐が外れやすくなるので十字状に巻いた方が良い。
〇パイロットフィッシュ
カルキ抜きした水を投入し水草もある程度入れたため、パイロットフィッシュを投入する。最初は魚も入れず、フィルターで水を循環させる環境を構築しバクテリアを繁殖させる。
Webでは1週間は魚を入れないように、と説明してある記事も多いが、youtubeなどを見ると水槽立ち上げ3日で魚を数匹投入するのが最速と説明されていた。
これは魚の餌や糞はバクテリアの養分であるため、魚を入れた方がバクテリアが繁殖しやすいため、とのこと。
よって、水槽3日目でカージナルテトラ2匹とヤマトヌマエビ2匹をパイロットフィッシュとして投入。
パイロットフィッシュとは立ち上げたばかりの新しい水槽で本命の魚を入れる前に、水質のチェックや安定のためにテストとして使う魚のこと。投入するパイロットフィッシュの目安は1匹/10L というのがあるが、いきなり6匹投入は怖いので2匹とした。
〇水合わせ(pHショック防止)
水合わせとは購入した熱帯魚を飼育する水槽の水質に慣らしていく作業のこと。水温やphなど水質の異なる場所に急に移されるのは体調を崩してしまう原因となるため。
手順としては大きく2点ある。
Step1:水温合わせ(袋ごと最低30分、水槽の上に浮かべる)
Step2:水質合わせ(袋の中の水を半分程度出して、水槽の水とブレンドして30分放置)
上記Step2で30分袋の中で水槽の水質に慣らせば、自分の場合はもう魚を水槽に投入する。ショップの水がもし汚染されていたらNGだが、自分の場合は良質なショップの水を分けてもらいたいと思うため、袋の水は捨てずに水槽にそのまま入れている。
〇パイロットフィッシュの死亡とその要因分析
パイロットフィッシュを投入して3日後にカージナルテトラ1匹が無残な姿で砂利上に落ちているのを確認。
ショップの店員さんに水槽の様子を動画で見せたところ、水質が悪化しているというより、泡に独特のとろみがあるから砂利の水洗いが甘く砂利の洗剤などの毒素が溶け出しているのではないか、とのこと。
水をいったん1/3程度替えて様子見をしたほうがいい状態となった。
〇水質検査の結果
とはいうものの、水質が気になったのでアンモニアや亜硝酸、硝酸濃度を検査できるキットで調べてみた結果、やはり水質は正常だった。
パイロットフィッシュ2匹のうち、1匹は元気に泳ぎ回っているため、死んだ個体は丈夫ではなかった可能性もある。
〇パイロットフィッシュの追加
どうしてもエンゼルフィッシュを入れたくてしょうがなかった。
水質に敏感なヤマトヌマエビはパイロットフィッシュの2匹とも生きており、水質検査OKかつ水換えも実施し、プラチナエンゼルを投入。
3日間何も問題なかったため、一気にファミリーを増やした。
記録は以下の通り。
11/5:水槽立ち上げ
11/11:カージナルテトラ1匹死亡
→水替え実施(1/3)&水質検査OK
11/12:エンゼルフィッシュ1匹投入
11/15:ミニブッシープレコ×1、
グラミー×2投入
11/18:カージナルテトラ2匹投入
〇水槽立ち上げ10日間経過後の濁りについて
黄虎石は粉っぽく手で触ると砂っぽい粉塵が手についた記憶があるので、しっかり水洗いすべきだったかもしれないが、アク抜きしていない流木も1本あったりで、みるみる水槽が濁っていった。
フィルタもみるみる茶色くなってしまった。
特に魚には悪影響は及ぼさないと思うが、見ていてあまり気持ちよくないため、フィルター2台のうち、1台はフィルターマット、もう1台はろ過材を投入して水槽をクリアにすることを目指す。
〇ろ過材
お手軽なのはろ過材がマットに入ったタイプ(割高)
弱酸性やアルカリ性など、好みのpHのものを選ぶことができるため、pHチェッカーで狙いたいpHと現状のギャップから選択するのもよい。
おすすめはろ過材を入れられるネットタイプのもの(コスパが良い)
ろ過材は物理ろ過タイプ(以下、左)と生物(化学)ろ過タイプ(以下、右)の2種類がある。どちらも表面にざらつきがあり、ここにバクテリアが吸着できるのだが、寿命は約1,2年ほどで使っていくほどにこのざらつきが取れて表面がツルツルになるとのこと。
以下のように分配した(手前側フィルターにはろ過材ネットと硝酸吸着材を入れた)
ろ過材投入前(夜23時あたり)と投入後(翌朝8時あたり)の写真を
効果測定結果として示す(写真は奥さん撮影)。
かなりクリアになっているが、黄ばみはあまり落ちていない・・・
〇流木のアク取り用活性炭
調べてみると、流木のアクによる黄ばみは活性炭が有効らしい。
プロでは流木のあく抜きはせず、活性炭とセットでそのまま水槽へ投入することも多いとのこと。
その中で、外さないメジャーな製品はキョーリンのブラックホール。
これを水槽にそのまま投入しても効果はあるが、水流があるフィルターの中に投入すると効き目があるらしい。
実際に買って使ってみると2日経つと相当クリアになった(以下左側)。
若干黄ばみはあるものの、透明度がグンとあがりほぼ気にならないレベルになった。
そこから1週間経過した際の写真を右に示す。ショップの水槽とほぼ同じレベルになった。
〇自動餌やり機
電池駆動ではなく、コンセント(USB)給電でWIFI経由でスマホから給餌タイミングを調整して指定できるものを購入したので取り付ける予定。